「今後、フリーランスエンジニアにチャレンジして、活躍したいと考えている方への道しるべ」
正社員や派遣社員として働いたことがあるけど、今後、雇われる形ではない、フリーランスエンジニアを検討されている方向けに現役のフリーランスエンジニアに登壇いただいてウェビナーを実施しました。
当日、現役のフリーランスエンジニアからは、案件獲得方法、収入面、安定性、苦労した点など、リアルの話を参加者へ届けてくださいました。 参加者からもたくさんの質問をいただき、終了後のアンケートでは、「良かった」との回答を多数いただき、満足度の高いセミナーとなりました。
今後、フリーランスをご検討されている方へぜひ参考にしていただければと思います。
登壇者プロフィール
■T.I さん
【経歴概要】
ソフト開発会社に7年間勤務し、航空宇宙、医療、ロボット研究の開発を経験。
その後フリーランスに転向。要件定義から運用、保守までの作業経験があり、よく使う言語は C++, python, PHP, shell script。
現在はフリーランスとして16年目でCI/CDシステムの保守を行っている。
【得意分野】
PoC、試作、デモシステム開発。ネット上から目的に合ったOSS等を探し出し組み合わせる。なければ作る。そう言った試行錯誤型のプロジェクトが得意。
■J.S さん
【経歴概要】
制作会社でデザイナーとしてキャリアをスタートし、その後、外資系音響メーカー、アドサービス、人材紹介会社で、企画からデザイン・制作ディレクションを10年おこなう。またマーケティング担当として、広告展開やイベント・プロモーションを4年経験。2020年11月からフリーランスとして、クライアントの販促サイトの企画や制作をおこなっている。
【得意分野】
クライアントの抱える課題を解決策として制作物に落とし込むこと
■塚原 大輔 (司会)
(アデコ株式会社 Modis事業本部 サービスソリューション部 シニアセールス)
フリーランスになった経緯
塚原:お二人がフリーランスになった経緯を教えてください。
Sさん:昨年11月まで会社勤めをしていまして、コロナの影響によりリモートで仕事をするようになって、結局会社勤めをしても自己管理しているのだから会社勤めもフリーランスと同じなのかなと考えながら、時間と場所を自由に選択できるという意味でフリーランスを選択しました。
I さん:初めからフリーランスになる予定はなく、30歳ころに転職をしようと考えました。ところが、企業を調べたところブラックそうな会社がたくさんあり、これであれば自分のことは自己責任でと思い、最終的にフリーランスの道を選びました。今からでも条件が合えば、サラリーマンになるのもありだと考えています。
仕事の環境
塚原:仕事の環境について教えてください。コロナの影響でリモートですか?
I さん:基本的には、常駐案件がほとんどでした。ここ2年ぐらい、コロナの影響で常駐先の企業からノートPCを借りて、自宅からリモートで仕事をしています。会社への通勤は、ここ2年ぐらいで、数回しか出勤していないです。自分の仕事用のPCは、もちろん持っていますが、お客さんからセキュリティの関係で支給されたPCを使ってください、と言われることが多いです。自分のPCを使うことは独学で勉強したりするのに使っています。
塚原:プリンターはどうしていますか?
I さん:プリンターは用意しています。様々な書類関係、例えば、請求書の発行や、確定申告の際にも使用しています。最近は確定申告も電子で申請できるので、活用は減っていますがプリンターは必須ですね。
塚原:PCやプリンターの購入費用は、確定申告の際に申請していますか?
I さん:30万以内の少額固定資産で申請しています。
塚原:Sさんは仕事環境はどうですか?デザイン系の仕事は、まさに自宅での仕事が多いイメージです。
Sさん:そうですね、ずっと自宅で仕事をしていますね。たまに気分転換で外のカフェなどで仕事をすることもあります。PCは、自分のPCで仕事ができるのですが、今はサポートしている会社からPCを支給されています。普段は、MACを使っていますが、今支給されているのは、Windowsなので両方の環境でチェックしたりする必要がある場合は、自分のPCを使用したりすることもあります。
塚原:サポートしている会社とのメールでのやりとりは、支給されているパソコンになりますか?
Sさん:メールは、MACでもWindowsでも両方できます。一部セキュリティが高い環境を必要とする際は、支給されたWindowsで対応することもあります。資料作成やデザインなどは、慣れているMACを使用しますね。
塚原:開業届は、出していらっしゃいますか?
Sさん:出しました。昨年フリーランスになったのですが、以前にもフリーランスで活動している時期があり、5年くらい前に、開業届をだしています。
塚原:ご自宅を事務所にされているということですか?そこで使用される電気代は、どうなりますか?
Sさん:全部経費で、青色申告で申告しています。
塚原:名刺は、作っていますか?
Sさん:名刺は、もっていないです
塚原:名刺がなくても特に不都合はないですか?
Sさん:名刺を交換する機会が、たまたまなかったというのもあるかもしれませんが、もし、新規で知り合うお客さんにオフラインで出会う機会があれば、LINEで交換するぐらいですかね。
塚原:仕事を受けるか受けないか、やり取りできるのですね。
Sさん:そうですね。今、名刺はもっていないですが、不便に感じたことはないですね。
塚原:Iさんは、開業届をだしていますか?ご自宅を事務所にしていますか?
I さん:開業届出しています。自宅が事務所です。
塚原:PCやプリンター以外で仕事用に使用しているものを経費で落としているのはありますか?
I さん:PC・プリンター以外ではあまりないですね。しいていえば、大きなディスプレイですかね。
塚原:名刺は、作っていますか?
I さん:作っています。覚えてもらうために、似顔絵が入っている名刺を作っています。
塚原:イラストは、どこかに外注されたのですか?
I さん:イラストを描いてくれるところに発注しました。ネットで調べて発注した覚えがあります。
塚原:差し支えなければ、名刺作るのにいくらぐらいかかったか教えてください?
I さん:フリーランスはじめたころに作った名刺をいまだに使っているので値段までは覚えていないですね。
仕事・案件探し
塚原:どのように案件探しをされていますか?
I さん:フリーランス駆け出しのころは、案件紹介会社を介して仕事をうけていました。ここ最近は、ほぼ、コネクションつながりで、要は知っている人から仕事を請けることが多くなっています。
塚原:仮にコネクションが作れなかったとして、案件の紹介会社だけを使い続けていくだけでフリーランスをやっていけると思いますか?
I さん:やっていけると思います。実際、うけたこともありますし、仕事の切れ間で案件の紹介会社とコンタクトをとって、どんな案件があるかという情報は。教えていただいています。欲をかかなければ、仕事には困らないだろうと思います。
塚原:どちらかというとコネクションのイメージ、人脈作りや営業力がないとできないだろうなというイメージでした。案件紹介会社を使うだけでも案件獲得には困らなそうですね。
I さん:そうですね、やっていくうちに人脈もついていくのだろうと思います。
Sさん:はい、私もコネクションで知人から仕事を紹介してもらって仕事をしています。
塚原:その知人の方は、過去の仕事で知り合った方ですか?
Sさん:昔、務めていた会社の同僚ですね。
塚原:仮に何名かお仕事を紹介してくれる方がいて、今後仕事の紹介が少なくなってきそうだな、という場合はどうされる予定ですか?
Sさん:一応、紹介会社にも3社ほど登録しています。そこでもいい話をたまにいただくこともあるのですけど、仕事がなくなったときは、紹介会社に頼ることもあるかな、と思っています。
塚原:今のところ頼らずにできてしまっているわけですね?
Sさん:そうですね、今はプロジェクトが1年ぐらいずっと続く予定なので、当面は切れることはなさそうです。
塚原:紹介会社で仕事を請けるより知人から案件を請ける方が良いというメリットはありますか?
Sさん:関係性もありますし自分のこと知っているのでやりやすかったりはします。
塚原:Sさんがどんなスキルを持っているか、わかってくれているということですか?
Sさん:そうですね、だいたいの力量とかも理解いただいて仕事をしています。
塚原:紹介で受ける仕事だと、例えば納品とか成果に対して多少融通をきいてもらうことはありますか?
Sさん:それもあるかもしれませんが、自分はストイックにやっています。納期はかなり意識して、多少無理することもあり、無理してでも守るようにしています。
塚原:実際、納期が守れなかったことはありますか?
Sさん:下りてくる仕事で依頼者側の都合で構成案やプランが変わってしまった場合など、納期をずらしてもらうことはありました。基本、納期は守っています。
塚原:フリーランスの方の納期は、非常に重要だと思っていて、一度伸ばしてしまうとクライアントさんからの信頼を失うことなどありますよね。
Sさん:デザイナーで会社勤めしているときから納期には厳しかったですね。そこはすごく重要視しているところですね。
フリーランスだからこその苦労、乗り越え方法
I さん:私は、比較的2、3年で居場所が変わる、プロジェクト単位でお客さんを変わる、というような働き方をしています。切替わった直後は、相手から品定めされるという状況になります。そこで一旦、この人だめなんじゃないかと思われてしまうと先が続かなくなってしまうので、少しでもわからないことがあれば、必死になってすぐに調べて答えるようにしています。必死になるという部分ではフリーランスならではかと思います。
塚原:新しい案件に参画する時、最初はすごく重要ですよね。
I さん:そうですね、そこでしくじらないようにそこで全力をだすような感じですね。サラリーマンの時には、なんとなく周りの人についていって、なんとなく仕事を開始するという感じでしたけど、そこはフリーランスになって大きく違ったところです。
塚原:フリーランスのなりたてのころ、積み重ねのノウハウがない時はどうやって乗り越えましたか?
I さん:サラリーマンで7年開発の経験があり、知らないことをつかれたらどうしようっていう感じでしたね。そこは調べて乗り越えていきました。
Sさん:5年前にフリーランスを3年程やっていましたがその時期は収入が全然安定しなかったのです。子供が3人いるので、支払いも多くて大変でしたね。やはり病気ができないので健康管理には気を付けています。
塚原:有給休暇がないですからね。健康管理は大事ですね。
スキルアップ
塚原:フリーランスの方は、会社の勉強会、研修などないと思うので、自分のスキルをどのように維持して行くか、また高めていくか、など課題だと思います。
塚原:スキルの維持、向上のために何かされていますか?
Sさん:わからなかったら調べるということは、常にやります。今ストイックにやれてないですけど、簿記の資格を取ることを、フリーランスで活動している知人に勧められました。教材買いましたが、手をつけてないです。
塚原:定期的に参加している勉強会などはありますか?
Sさん:今は参加してないです。趣味でカメラが好きなのでカメラの学校にも通っていて、それもゆくゆくは仕事にして幅を持たせようかな、というプランがあります。
塚原:デザイナーやディレクターみたいな仕事から幅を広げるという意味で、勉強をしているのですね。今やってらっしゃる販促サイトの企画制作は、これまでの得たスキルで対応可能な案件ですか?
Sさん:販促サイトの企画制作ばかりをずっと10何年もやってきているので、そこは割と得意ですし、もちろん、苦労もしますけど。
塚原:ありがとうございます。Iさんはどうですか?かなり先端的な技術のところも経験されていますが、技術を高めていくような事を意識されていますか?
I さん:私も最初こそ勉強会に顔を出して色々やっていましたが、結局のところ、勉強会は本当に知りたいことを知ると言うよりは、横のつながりを維持するという方がメインになってしまって、 最近ではあまり勉強会に参加していません。スキルに関しては、やっぱりネットが もっぱら情報源です。まずは日本語のサイト探して、それでも見つからなければ英語のサイトを探します。英語があまり得意ではないので苦労するのですけど、そうするとほぼ何でも情報が出てきます。最近ではバーチャルマシン、仮想マシンとかが一般的に簡単に使えるようになってきたので、それを使ってネットで調べてこのVM環境で実験をし、とやると大体何でも確認することができます。それをもってスキルアップにつなげるといったことをしています。
塚原:お2人に共通しているのは、やっぱり新しいことを自分で調べて覚えていくというところにつきますね。
I さん、先ほどの勉強会を掘り下げたいのですが、フリーランスの方は、勉強会に多く参加されているイメージですが、勉強目的というよりは、皆さん横のつながり目的に参加されていますか?
I さん:人それぞれだと思います。ただ、何かしら自分で行動して、参加して見るっていうのは必要だと思います。それを見て自分で決めるという風にしたほうがいいと思います。
塚原:得るものがある人もたくさんいらっしゃる感じでしょうか。じゃあ、お金を払って新しいチャレンジをするSさんのカメラのように、ITエンジニアとしての技術を高めたりするためのお金を払って、スクールに通うとか、勉強会参加などは、されたことはありますか?
I さん:それはしたことないです。
塚原:ネットで見るとフリーランスの方は、スキルアップが自己投資で勉強会に参加するお金を惜しむな、と言っている方を見ましたが、必ずしもそうではない、ということですね。自分で調べて自分で学ぶという姿勢がかなり大事なイメージをもちました。
収入について
塚原:収入について教えてください。
I さん:30歳前ぐらいでサラリーマンをやめているので、その時よりは、もちろん収入が上がっています。フリーランスになった直後は、ちょっと増えたぐらいでした。普通の給料と違って、フリーランスの場合は有給もないですし、退職金もない厚生年金を半分会社が払ってくれているということもない、ボーナスもないっていうのを全部勘案して、今の収入と比べてどうなのか?という比べ方をしなきゃいけないのでそう考えると、駆け出しの頃はそれほど増えた、という感じではなかったです 。今は、その当時の1.5から2倍ぐらいは、稼ぐようになりました。
Sさん:仕事のペースを落としているのもありますけど、会社員時代の収入と比べると月にもよりますが、大体半分から2/3ぐらいじゃないかなと思います。 塚原:週3でもそれぐらいは稼ごうと、思えば稼げるって感じですね。
フリーランスのメリット・デメリット
塚原:これは、人それぞれだと思いますが、フリーランスのメリットとデメリットはなんだと思いますか?
I さん:1番のメリットは、仕事を選べることですかね。たくさんある仕事の中からうまくすれば、自分のやりたいことをそのまま仕事にできる、これがメリットとしては1番です。また、自分で動き方を決めることができるので、いろんな人に会うことができ、いろんな人の話を聞いて、いろんな人の考え方を知ることができる、この辺は、非常に大きなことだと思っています。
Sさん:自分の裁量でいろんなことを決められるっていうことだと思います。私の場合、働く時間もかなり極端で朝早くから始めて昼前までに終えたりとか、そういう風に働いたりしています。
塚原:Sさんは9時6時みたいな決められた時間の働き方よりは自由な働き方をされたいイメージです。
Sさん:そうですね、私は今週3でしか働いてないです。
塚原:残りの4日はカメラの勉強をするとかですか?
Sさん:そうですね。
塚原:ありがとうございます。自由に時間を使えたり、自由で幅広い出会いなどはメリットだな と思いました。 逆にデメリットは、ありますか?
I さん:ないと言いたいところなのですが常に来月、仕事があるかないかわからないという状況に置かれますので、実際に起こるかもしれないですし、そういった恐怖心と戦い続けなければならない。 普通に働いていたとしても、ここでミスしたら来月どうなるかわからない、というふうなことを頭におき続けないといけないというのは、デメリットになるかなと思っています。 あと聞いた話によりますと、住宅ローンが組みにくいとか、仕事はしたけど、お客さんがお金を払ってくれない、ということもあるらしいので、まあどれくらいの頻度であるかというのは、経験したことないので分からないのですけど、そういったこともデメリットに入ってくると思います。
塚原:トラブル時も自分でクライアントの対応しなければいけないですもんね。ありがとうございます。
I さん:場合によっては、弁護士に相談もしなければならない、と思っています。
塚原:Sさんはデメリットってなにかありますか?
Sさん:先ほどのメリットの逆にもなるのですが、自分の裁量で決められるっていうことなので自分が動かなかったら、もう何も始まらない。やっぱり案件がなくなった時も、自分が積極的に動いていかなきゃいけないのが常にリスクとしてあります。
塚原:お2人とも何年かやっていると、不安がだんだん無くなって来るみたいな感覚はありますか?
I さん:ないです。
塚原:もう常に不安はある感じですよね。会社の社長もおなじですよね。社員は言われた仕事やりますけど、社長は、自分の会社が10年後あるのか分からないそれは一緒ですもんね。ありがとうございます。
セミナーを終えて
AKKODiSフリーランスでユーザー向けのセミナーを実施することは始めての試みでした。大きな収穫は、2名の現役フリーランサーの生の声をお届けできたことです。当日も参加者の皆様から多くの質問が寄せられました。時間の制限上、全ての質問にお応えできなかったのですが、皆さんとても真剣にまた前向きにフリーランスとしての働き方を模索されていらっしゃるのを感じられたセミナーでした。
「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる」というビジョンのもと「未来に繋がる仕事」を創出し、皆さんの「キャリア開発したい」という想いに寄り添って積極的に支援していきます。
AKKODiSフリーランス運営事務局