フリーランスが屋号を使うメリットとは?決め方のポイントや事例を紹介!

フリーランスが屋号を使うメリットとは?決め方のポイントや事例を紹介!

 開業届や確定申告書等の書類に記載をしている個人事業主の屋号、しかし、屋号はなぜ必要なのかなどを正確に理解できているのでしょうか?

個人事業の開業時に屋号について疑問に思う事が多いので、ここで解説してみます。


そもそも屋号とは? 

法人は商号(社名)会社名の使用が厳格に決められていますが、個人事業主(フリーランス含む)は、事業にちなんでお店やサービスに名前をつけることがあります、これが、屋号です。

個人事業主にとって屋号は必須ではありません、補助的な位置付けです、税務申告も店舗等の仕事上の契約も屋号ではできません、事業主本人名義になります。

例えば、飲食店数店、居酒屋と焼肉屋を経営している個人事業主がいたとして、別々の屋号を使っていても、確定申告書や仕事上の契約については、屋号ごとに行うわけではなく、あくまで個人事業主の名前で行います。

つまり、屋号とはお客様に自分のビジネスをわかり易くする為に仕事上で使用する名称です。

本当に屋号は必要か? 

開業け、確定申告など届出等の公的な書類で、屋号を記載する箇所が多くありますが、必須ではありません。屋号をつけるか否かは、事業内容で決めれば良いので、お店や事務所を持っていて、事業主の名前で営業したくない場合には屋号をつけます。IT関連事業でフリーランスやアフリエイトなど事業主名で十分行えている事業者は屋号をつけない場合が多くあります。

しかし、事業を拡大して従業員の雇用するときが来れば、個人名で求人を出したとしても、応募する人はかなり少ないので屋号は必要です。また、将来、法人化をするときは、屋号が法人名(会社名)にそのまま使えるので、屋号があると、なにかと便利です。


■メリット 

屋号をつけるメリットは個人事業であっても事業家としての覚悟を決めるには、良いとの声もあります。実際、お客様に「個人太郎です、よろしくお願いします」と挨拶するよりも、「デザインオフィス○○」、「□□システム開発」とかの屋号を名乗る方が、何を事業としているのかが明確でわかりすいのです。

取引先との名刺交換、取引先訪問で名乗るとき、電話応対の時など色々なビジネスシーンで、屋号があれば自分の事業をわかって貰い易いです。


■デメリット 

屋号をつけるデメリットは殆どないと言えますが、強いて言えば屋号の名前をしっかりと考えていないと、他の事業と間違われること、個人名で事業をしていて既に名前が浸透していれば、屋号が邪魔になること位です。



屋号を決めるときの注意点 

一般的に屋号は「○○商店」とか「△△事務所」などの事業にちなんだ 屋号が多いです。屋号は、銀行口座、名刺、看板、領収書、契約書などで表記することができて、屋号にはカナ文字やアルファベットを使うことも可能です。

しかし、世間一般に知られていない事柄とか造語など奇抜な屋号にすると、顧客や取引先から見て、どんな事業を行っているのかがわかり難いので、できるだけ簡単に事業がイメージできて、印象に残りやすい名前を屋号にするのが良いでしょう。

・会社と間違うような名前はつけない

法律(会社法)で、会社でない者が、会社であると誤認するような文字を名称に使ってはいけないと定められていますので、個人事業主が屋号中に「株式会社」などの文字は使えません。

お店を持って商売をしている場合は、お客様にとって個人事業主なのか会社なのかはお店を選ぶのに重要視しないでつける方はほぼないでしょうが、ネット販売等実店舗がない商売では信用が大事と思い、「○○会社」や「○○法人」つけたくなりますが、会社でない以上、株式会社や法人であるとの誤解を招く「屋号」は、お客に会社であると誤解させるので、使用すれば法律違反で罰せられることもありますので、注意してください。

・有名な名前に故意に似せない

屋号を店名としたときとかにありがちなのが、名前が売れている同業他社とあえて似せるようなことをしてしますことです。

世の中には、どうしても似たような名前のお店は多数ありますし、屋号の場合は商号と違い登記がされないので、良いと思った店名が自分の行動範囲外のお店と凄く似ていたとかはあり得ます。

ただ、故意に有名店などに似せることで、自分のビジネス(お店等)に集客を図るといったことは、他の事業者の利益を侵害することになりますが、多少、屋号や店名が他の事業者とかと似ていても仕方ありません。

 特に、他社が商標登録している「屋号」や他の有名な法人・サービスとの誤解を招く屋号をつけると法律違反になります。


■わかりやすい屋号をつける 

屋号にはカナ文字やアルファベットを使うことも可能です。

しかし、世間一般に知られていない事柄とか造語など奇抜な屋号にすると、顧客や取引先から見て、どんな事業を行っているのかがわかり難いので、できるだけ簡単に事業がイメージできて、印象に残りやすい名前を屋号が良いでしょう。

個人名でも知合いに「スワ(諏訪)さん」がいますが、「つまさん」と良く間違われるようですが、屋号にも当てはまります。

有名なのが、「ケンタッキー」もよく「洗濯機」に間違われるそうですが、のは良く聞きますが、聞き間違い回避には濁点を入れるのが有効なのだそうです。

その為には、事業の内容やサービスの内容が想像される字句を調べて、そして、競合(ライバル)で同じ名称などがないかをしっかり調査した上で、屋号を決めることが重要です。


屋号決定の標準的な手順

①屋号の候補を少なくても10以上は出す。

②商標登録があるか調べる。(特許庁の特許情報プラットフォームから)

③商標登録があれば候補から削除します。

④GoogleやYAHOO等の検索サイトで、候補名を検索して、使用を確認する。(検索で出た100番前後はチェックして、あれば候補から削除)


■個人名ではなく、屋号名義の銀行口座が必要 

事業の収益を正確に把握する必要があるので、銀行口座は事業用の口座を作ります。事業用の口座開設は、個人の銀行口座を開設する場合とは手続きが異なります。

①口座には屋号だけでなく、代表者の氏名を入れた「屋号+氏名」が銀行口座となる。

②銀行口座の申込ないは多くの書類が必要です。

〇本人確認書類

運転免許証やマイナンバーカードなどです。

〇開業届

屋号で開業していることを証明する必要があります。

〇印鑑

個人の印鑑より事業用の口座になるので、専用の銀行印を作った方が良いで

しょう。

〇屋号確認資料

屋号を使用していることの確認書類を金融機関に提出する必要があります。

・所得税や地方税の納税証明書または領収証

・社会保険料の領収書

・事務所などの賃貸契約書

・水道代や電気代などの公共料金の領収書

・所得税や住民税の確定申告書控え

上記の屋号が載っている書類1種類で良いです。

③申請当日に口座開設はできません、申請後約1週間後位に自宅か事務所に通帳が送付されてきます。

④但し、ネットバンキングが有料となったり、口座管理料をとる銀行などもあります。


屋号を記載する書類

屋号はどのような書類に記載するのかを説明します。

・経理に必要な証憑書類(見積書・発注書・請求書等)に記載する。

・通常の商取引でお客様や得意先などに渡す、請求書や領収書に記載する。

・金融機関に融資等の取引をする場合には書類に屋号を記載します。

・税務署に提出する開業時、確定申告書や青色申告決算書に記載します。


事例

屋号の一部の事例を紹介してみます、現実は色々な屋号があるものです。


(1)屋号に事業名(商材・サービス)と自分の名前・地名等を屋号に入れる。一般的で色々な商売の屋号はこの形です。

a.デザインスタジオ山田、パソコン・サポート山田、サトウシステム開発

事業名(デザインスタジオ等)と山田・サトウは代表の苗字を入れる

b.焼肉新宿、焼き鳥秋葉原、原宿不動産

飲食店等店舗に多いのですが、地域名と事業内容を組み合わせています。


(2)英語表示で読めそうで読めない屋号

全て英語の屋号、フリーランス・IT関連等に多いのですが、幅広いお客様に

事業を理解して頂けるかは疑問です。

a.InternetOffice21

パソコンのネットワーク設定を事業としているので、インターネットとオフィスと2000年以後に事業を始めたので、21世紀からつけている

b.The Market

アクセサリーショップが英語でマーケットと屋号にしている(意味は不明)

c. KonanBaseBallShop

岡山県の地名の「岡南」と野球を英語表記で組み合わせている運動具店(野球用品店)


(3)個人事業主の趣味と拘りで事業名が不明な屋号

たまに見かけますが、事業主の趣味とか好きな文字とか拘りで屋号をつけて他人から見ると何の事業なのか理解できない屋号

a.赤い彗星

石材店の屋号、代表がマンガに凝っていて、主人公の名前から命名

b.あいぷらす

保険代理店の屋号、お客を大事にするので、愛を足すとのことで「あいぷらす」との命名

c.123オフィス

名前は憶えやすいですが、事業がわからない、保険代理店です。

d.ゲストハウス「フ」

韓国人のオーナーの宿泊施設で覚えて貰い易いが違和感のある屋号


(4)印象の悪い屋号

屋号の読み方によれば洒落か安易な考えでつけたか不思議な屋号

a.越智(おち)さん、薮井さんという苗字を屋号に入れる

越智さんは進学塾や家庭教師等の教育関係には使用すると受験生には受験に落ちることを連想させる。

薮井さんは歯科・内科等の医院にそのまま付けると「薮井医院」となれば「やぶいいしゃ」……やぶ医者と読まれてしまう。

b.「Taverna Vacca」というイタリアンの店

タベルナ ヴァッカと読みますが、「タベルナ、バカ」とも聞こえます。シャレかも知れませんが、印象は悪いです。

c. 「ア歯科」の屋号

Twitterで見たのですが、わかり易い屋号ですが、読み方は「アシカ」になります。


この記事を書いた人

株式会社スコーレメディア代表取締役 善 木 誠 (ゼンキ マコト) 岡山県岡山市在住
事業計画作成支援、経営革新計画作成支援、補助金・助成金・融資等の公的資金獲得支援、事業継続計画作成(BCP)支援、個人情報保護認証コンサルタントを行っています

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