近年の働き方の多様化によって、正社員以外の働き方(派遣社員、自営業、フリーランスなど)が広く認知されるようになりました。特に自営業やフリーランスは、正社員のような時間拘束がない分、時間管理や営業活動などを全て自分で自由にコントロールできますが、
一方、企業に所属していると得られる各種福利厚生やまさかのための保障などは受けることはできません。そこで今回はフリーランスの方に向けて、まさかの時に備える保険に焦点を当てて見ていきたいと思います。
フリーランスのための保険ってあるの?
フリーランスとして活動するにあたって、社会保険としては、国民健康保険(健康保険)、国民年金(年金保険)があります。雇用保険、労災保険、厚生年金保険はフリーランスの方は加入できません。
また、フリーランスの方は営業活動による賠償責任や事故等で活動ができなくなり収入がなくなった場合の備えは自身で準備する必要があり、以前は保険などの商品もありませんでした。そのようななか、2017年9月に一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会)が、会員向けに賠償責任保険や福利厚生サービス、所得補償保障制度(任意加入)などを含んだ「ベネフィットプラン」を提供開始しました。
フリーランスの保険はどういう保険なの?
上記ベネフィットプランはフリーランス協会の会員として加入(年会費1万円)するだけで、得ることができる「賠償責任保険(自動付帯)」「福利厚生サービスWELBOX(自動付帯)」「所得補償制度(任意加入)」があります。
<賠償責任保険(自動付帯)>
この賠償責任保険は損保ジャパン日本興亜損保を幹事会社として東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保が非幹事会社として4社共同で提供されている保険で、「業務遂行中の補償」「業務結果(PL責任)の補償」「受託財物の補償」「身体障害や財物損壊が発生しないような業務過誤の補償」が主な補償内容です。
各補償内容の例(フリーランス協会Webより参照)
〇業務遂行中の補償
一例
・自転車で配達中に通行人とぶつかり、ケガをさせてしまった。
・育児代行等において、預かった子どもにケガをさせてしまった。
・家事代行等において、食器等の家財・備品を壊してしまった。
〇業務結果(PL責任)の補償
一例
・利用者に飲食物を提供した結果、食中毒が発生した。
・納品物に欠陥があり、第三者にケガをさせてしまった。
〇受託財物の補償
一例
・依頼先やコワーキングスペース等の借用施設の壁や設備 を誤って壊してしまった。
・預かっていた第三者の財物を誤って壊してしまった。
〇身体障害や財物損壊が発生しないような業務過誤の補償
一例
情報漏えい
・納品したシステムに瑕疵があり、発注先の個人情報が流出した。
・フリーランスのパソコンがウイルスに感染し、企業情報が漏えいし、発注者に営業損失が発生した。
著作権侵害
・発注者へ納品した成果物が第三者の盗用にあたるとされ、第三者から損害賠償請求を受けた。
・発注者へ納品した成果物が第三者の盗用であるとして、発注者に営業損失が発生した。
納品物の瑕疵
・データ入力業務を受注したが、商品の発注数等の入力を誤ってしまったことによる営業損害額が発生した。
・納品したシステムに不具合が生じ、システムの使用不能期間の代替手段に要する費用が発注者に発生した。
偶然の事故による納期遅延
・フリーランスの入院による納期遅延のため、発注者の業務開始が遅延し、発注者に営業損害が発生した。
・フリーランスの職場が罹災し、納期に間に合わなかったため、 発注者から損害賠償請求を受けた。
補償金額について(フリーランス協会Webより参照)
<福利厚生サービスWELBOX(自動付帯)>(フリーランス協会Webより参照)
株式会社イーウェル社が提供している福利厚生サービス「WELBOX」を利用でき、主なメニューとしては「健康サポート」「子育て両立支援」「スキルアップ支援」「リラクゼーション優待」「各種相談」があり、一般会員の方は第二親等まで利用可能となっています。
〇健康サポート
全国3,000施設の健康診断や人間ドックが会員価格で利用できます。
〇子育て両立支援
「子育てナビ」で子育ての情報を見ることができたり、保育施設の優待など各種サポートを利用することができます。
〇スキルアップ支援
ビジネスシーンで必要なスキルから趣味まで、各種スクールやE-ラーニングが会員優待で利用することができます。
〇リラクゼーション優待
マッサージ施設やスパ、スーパー銭湯などの温浴施設を会員価格で利用することができます。
〇各種相談
各種相談ダイヤルとして、「健康」「介護」「育児」「税務・法務」「冠婚葬祭・ビジネスマナー」「メンタルヘルス」「ファイナンシャル」「暮らしのトラブル」など生活の中で困ったとき、誰に聞いてよいか分からないときに専門家の方が丁寧に対応していただけます。
〇その他
映画やカラオケなどのレジャー、グルメやショッピング、出張に便利な旅行関連の優待など多彩なメニューがあります。
<所得補償制度(任意加入)>(フリーランス協会Webより参照)
この所得補償制度はフリーランス協会の会員として任意で加入できる保険で「最長1年間の補償」「365日・24時間補償」「天災によるケガも補償」という特長を持ち、傷病手当金や労災保険に代わり、フリーランスの健康リスクに備える安心の補償となっています。
所得補償制度について
上記フリーランス協会の会員が加入することができる所得補償制度を一例に所得補償保険について見てみたいと思います。
<所得補償制度概要>
病気やケガで万が一働けなくなったとき、喪失所得を保険金として受け取ることができ、フリーランス協会一般会員であれば保険料は個人で加入するより約40%も割安となっています。また 加入手続きは医師の診査不要で健康・介護相談サービスも無料提供しています。
補償内容としては「所得補償プラン(所得補償保険)」「傷害補償プラン(傷害総合保険)」
「長期所得補償プラン(団体長期障害所得補償保険)」「親孝行サポートプラン・介護サポートプラン(団体総合保険)」があります。
〇所得補償プラン(所得補償保険)
病気やケガで働けなくなったとき、給料を軸に保険金が支払われます。
〇傷害補償プラン(傷害総合保険)
急激かつ偶然な外来の事故でケガをしたとき、入院費や通院費、介護費、死亡補償など状況に応じた保険金が支払われます。
〇親孝行サポートプラン・介護サポートプラン(団体総合保険)
親を介護する子が負担する介護費用や自分自身の介護費用が補償されます。
(親孝行サポートプラン)
被保険者である親が公的介護保険制度における要介護状態区分の要介護2から5に認定され、その状態が90日を超えて継続した場合、この特約の被保険者である親に一時金が支払われます。
(介護サポートプラン)
被保険者本人が公的介護保険制度における要介護2から5相当に該当され、所定の
介護状態が90日を超えて継続した場合、被保険者に一時金が支払われます。
〇長期所得補償プラン(団体長期障害所得補償保険)
保険期間中に病気やケガで就業障害になり、その期間が支払対象外期間を超えた場合、就業障害である期間1ヶ月につき、就業障害によって発生した収入の減少分をご契約の保険金を限度として対象期間の満了(最長70歳)まで支払われます。
まとめ:フリーランスとして安心して活動するために
フリーランスとして活動を開始している方、これからフリーランスとして活動をしようと準備している方、フリーランスとして活動を考えている方はフリーランスとしての営業活動は必然であることは認識されているとは思いますが、もしもの時の補償・保障についてもフリーランスとして安心して活動できるよう十分な補償・保障を事前に検討し準備することによって、より安心して積極的な活動ができると思います。