知りたい!フリーランスのお休み事情とは?

知りたい!フリーランスのお休み事情とは?

フリーランスの魅力の一つは、仕事量だけではなくお休みも含めてすべてを自分で決められることです。

しかし、毎回決まった量の仕事を受注しているのならオンとオフの切り替えもしやすいのですが、複数の業務が重なって立て込んできたりすると「なんのためにフリーランスになったのかな?」などと自問自答してしまうほど忙しくなることもあります。

この記事では、フリーランスの方がどのようにしてお休みをとり、仕事と私生活とのバランスをとっているかについて解説していきます。

正社員とは違う!フリーランスの休日(オフ)

正社員として雇われている場合、休日は就業規則によって定められています。そのためお休みのとり方の事情は職場によって異なり、社員はそれぞれの職場のルールにしたがってお休みをとっています。

一方、フリーランスは正社員のように会社との雇用関係がないため、基本的に決まった休日は定められていません。

たとえば、土日祝だけをお休みにするのではなく、平日もお休みにしたり、午前中だけ働いて午後はお休みにしたりというように、基本的には「働き方」も「休み方」も自分で自由に決めることができます。

実際みんなどうしているの?

常駐するタイプの働き方であれば、ひと月あたりの稼働時間を決められていることが多いため、このタイプのフリーランスは常駐先の職場の休日に合わせてお休みをとることが多いです。

一方、成果物を納品するタイプであれば、依頼された成果物を期日前に完成させて納品し、お休みをとることができます。このタイプのフリーランスは、自身の都合でお休みをとることが多いようです。

ワークライフバランスを考えよう

働きっぱなしでお休みを作らないでいると、やがて疲労が蓄積し、心も体も壊してしまいます。

若いうちはそれでよいと思っている方もいるかもしれませんが、一度心や体を壊してしまったら、もう働くどころではなくなってしまうかもしれません。

アメリカの教育学者でもあったドナルド・E・スーパーは、「私たちは人生という時間軸の中で、1つあるいは複数のさまざまな役割を並行して演じる毎日を送っている」と説きました。

スーパーのいう役割とは、子ども、学生、職業人(労働者)、家庭人、余暇人、市民といった少なくとも6つの役割のことを指します。

これらの役割はお互いに影響しあいます。たとえば、職業人としての役割に没頭しすぎると家庭人としての役割がおろそかになってしまったり、そのことがきっかけで離婚になったりして、大きな変化(ストレス)へとつながることもあります。

そのため、それぞれの役割にどれだけの時間を使い、どうしたら全体としてうまく「働き方」と「休み方」を組み合わせて回していけるのかが大切なのです。

ここではこうした「ワークライフバランス」を考えるために、以下の7つのポイントを紹介していきます。

【ポイント1 自身の仕事量を把握しよう】

たとえばフリーランスエンジニアのケースを考えてみましょう。

フリーランスエンジニアにとって、アプリ開発の案件や求人は根強く需要のある仕事です。

ただ、注意したいのはアプリ開発をしても、長く売れ続けるようなアプリはあまり多くはありません。つまり、アプリ開発は持続的な収益にはならず、単発的な収入になるということです。

したがって開発の需要があるからといって、これらの仕事を多く請けすぎると、仕事量が増えすぎてオーバーワークになってしまう可能性があります。また、収入も変動が激しく不安定になりがちです。

収入の安定化を図っていくことを考えた場合には、常駐の仕事を請けるほうがよいですが、その一方であまりに常駐の仕事の数を増やしすぎると、単発的な仕事を引き受ける余裕がなくなったり、それらの仕事に支障が出たりする可能性も出てきます。

これらを踏まえオーバーワークにならないようにするには、「もっと仕事を増やせそうかな」と思うくらいの少し余裕を感じる程度の仕事量に抑えておくことがポイントとなります。

【ポイント2 毎日の仕事のやり方を見直そう】

同じ仕事をするのなら、効率よく短時間で仕上げたいと考える方は多いでしょう。効率性の観点からいえば、仕事は自宅ですることをおすすめします。

周りが気にならない環境であれば自宅が一番リラックスできますし、通勤にかかる時間や交通費も必要なく節約もできるためです。

ただ、家族がいたりといった事情で集中が切れるのが心配ということなら、コワーキングスペースを借りたり、自身が快適に過ごせるカフェなどを利用したりするというのも一つの方法になります。

また、中には早めに寝ることを習慣づけて、家族が寝静まった夜中から仕事を始める「超朝型」の方もいます。自身の収入や好み、かかる費用を比較しながら検討するとよいでしょう。

【ポイント3 自身の単価を上げよう】

フリーランスは収入が不安定になりがちなため、「たとえ単価の安い仕事であったとしても、収入がないよりはあったほうがいい」という考えに陥りがちです。しかしこのような考え方で仕事を請け続けることはあまりおすすめしません。

1日は24時間と有限です。作業効率を上げることで単価の安さをカバーしようとしても、効率化にも能力にも限界があります。

そのためワークライフバランスを保つためには、自身の単価を上げてみるというのも一つの方法です。たとえば、契約の更新時や追加の依頼があったとき、新しい案件をもらったときなどは、交渉をするタイミングとしてちょうどよいでしょう。

ただし、当然ながら交渉がうまくいくかどうかはそれまでの自身の仕事の成果が影響してきます。

納期を守ることはもちろんのこと、少々無理と感じる依頼であっても嫌がらず請けるなど、普段から相手の信頼を得るように努めてきたのであれば、より交渉は成功しやすくなるでしょう。

【ポイント4 VDT作業効率を意識しよう】

さまざまな表示機器【VDT(Visual Display Terminal)】を長時間使用することで「VDT症候群」になってしまう可能性があります。

VTD症候群の症状には、目の疲れや肩こりなどの肉体的なものだけでなく、イライラや抑うつなど精神的なものも含まれます。

これらを防止するために厚生労働省は、平成14年にパソコンの画面をそれぞれの作業に適した明るさに設定したり、モニターの位置を適切で正しい位置に調整したり、定期的に作業を止めて気分をリセットする時間をとるなどというような、作業環境や作業管理、健康管理などに関しての基準を細かく定めた「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定しました。

令和元年になってこのガイドラインは再検討され、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」という内容に見直されました。健康的に長く働き続けるためにも、これらのガイドラインは参考にしたい内容です。

【ポイント5 仕事を終える時間を決めよう】

人間にとって睡眠は、自身の体調を整えるためにもっとも大切なことの一つです。作業に没頭しすぎてついつい夜更かしする状況が続いてしまうと、やがて健康を損なってしまうことにもなりかねません。

「毎日○時になったら仕事を終える」。これを決めておくだけでも一定の睡眠時間の確保ができ、だらだらと作業を続けることを防止できます。ほかにも、もし家族がいるのなら「○時には必ず帰ってくる」とあらかじめ伝えておくのもおすすめです。

これにより家族も安心できますし、家族側のスケジュール調整もしやすくなって家族で一緒に過ごせる時間を増やすことできるかもしれません。

【ポイント6 家と仕事場を分けよう】

フリーランス、勤めているに関わらず「家はくつろぐ場所」と決めている方は多いでしょう。

とくに家庭をもっているフリーランスの中には、「家庭には仕事を持ち込まず家族と向き合いたい」という考えから、家と仕事場を分けている方もいます。

ほかにも「仕事をするときは仕事だけに集中して最大のパフォーマンスを発揮し、それ以外の時間は思いっきり自分の時間を楽しみたい」という理由から、家と仕事場を分けることで仕事に集中できる環境を実現している方もいます。

またたとえ同じ家の中であったとしても、仕事専用の部屋を1つ決めて、仕事に集中できる環境を作っている方もいます。

フリーランスという働き方はオンとオフの境目がつきにくいからこそ、環境面を整えることで生活にメリハリをつけるなどの工夫が大切です。

【ポイント7 ポモドーロ・テクニックを活用しよう】

集中力とモチベーションを高めるためのテクニックとして、「ポモドーロ・テクニック」というものがあります。

これはもともとソフトウェア開発者の間で最初に広まったといわれる時間管理術で、仕事や勉強、家事などのさまざまなタスクに対して25分間続けた後に5分の休憩をとり、これを1セットとして最大4セットを続けるというテクニックです。

これをすることにより、時間内で仕事を完了させなければならないという義務感から、より集中力を発揮しやすくなります。またタスクを終えたときには、無駄なく時間を使い切れたという充実感や達成感も生まれます。

このテクニックは締め切りが迫っていて、それでも間に合わせなければいけないというときや、気の向かない仕事をする必要があるとき、どうしても乗り越えなければいけない課題などがあるときなどで威力を発揮します。上手にとり入れて活用していくとよいでしょう。

休日をとる上での注意点

フリーランスは自由に休日が決められるといっても、依頼主あっての仕事であり、仕事あっての自身の生活となります。ビジネスにおける礼儀やマナーへの配慮は必要です。

たとえば休日をとる前には依頼主に連絡をしておいたり、電話に出られない環境でもメールは受けとれるようにしておいたり、緊急連絡先を設けて緊急時はそこにつながるようにしておいたりといったような工夫をしておくとよいでしょう。

どのような形であれ、何らかの方法であなたと連絡をとれる方法があると依頼主は安心できますし、あなたに対しての信頼感の向上へとつながっていきます。

また長期の休暇をとる場合には、何日から営業が再開できるのかを提示しておくと依頼主もより安心できるでしょう。

記事まとめ

確かにフリーランスは社員よりも自由な働き方ができますが、だからといって「働き方」も「休み方」も完全に自由であるというわけではありません。

依頼主からの信用と期待をもって選ばれていることを忘れないようにしましょう。

そしてフリーランスは「一人の自立したビジネスマン」であるという自覚をもちつつ、オンとオフの切り替えをしながら「仕事」と「お休み」のバランスをうまくとり、充実した人生を楽しんでいきましょう。

この記事を書いた人

プロフィール

瀧本 博史(たきもと ひろし)

キャリアコンサルタント。キャリアの専門家として就職指導や大学講師、職業訓練校講師、ハローワークや公共機関等の相談員歴25年。心理カウンセラーとして心の問題もケアしてきており、高校・大学では就職・面接指導と講演、公務員試験対策を実施している。

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